「今呼んでますから、準備しましょう」
女医さんが、心電図から吸入器から一切合切持ち出す準備をしてる
「すぐ来ます」
と言う割に、来やしねぇ
旦那ちゃんは相変わらず「痛い痛い」を繰り返してる
「これ飲んでください」と白い錠剤を飲まされる
何もかも信じられなくなってるあたしは
「それ!何の薬ですか!」と言うと
「通す薬です」
「通す薬?」 思わず旦那ちゃんとハミングする
気になったので、空になった錠剤の入れ物をポケットに入れた
時計は7時前、かれこれ30分は経ってる
イライラしてると遠くからピーポーが聞こえてきた
慌ただしく入ってきた隊員さんはさっきの人じゃなく
ハキハキした背の高いおじちゃんだった
「大変ですね、さぁ行きましょう、5分ほどで着きますからね」
「はい、お願いします」と言うのが精一杯だった
I病院から看護師さんが1人着いてくる、転院先に事情を説明するためだそうだ
救急車に乗り込み、座った途端に異臭騒ぎ・・・
シッコのかかったスリッパにファブリーズが便乗して
負け知らずの激臭に変身した
ただでさえ鼻が良いあたしは後ろにのけぞりそうになって
ヒクヒクしてると、横に座った看護師さんの鼻が赤くなってる
口で息をしてるのが分かる
目が合うと「もう少しですよ」と言ってくれた
すまん!!!!!
すまんかったように思う!!!!!!
わしも臭いんじゃぁ~~こらえてくれぇ~~~
みんな無言なのは、何かの合図かあ~
旦那ちゃんのことや臭いでノックアウト寸前だ
うーうー思ってるうちにS病院についた
「旦那ちゃん病院に着いたよ、もう少し頑張ってね」
と、声をかけ、後ろのドアが開いた
どどどどどど、と音がして、Drが7人看護師さんが6人
救急車に向かって走ってきたかと思うと
1人のDrが簡易の心電図に目を走らせ
素早く担架に乗せ、すべるように病院へ入れた
2人の看護師さんと1人のDrがエレベーターで旦那ちゃんを運び
残りのDrも看護師さんも3段飛びで階段を駆け上がった
あたしはその秒単位の動きに感動して
初老のDrから上がってきてと声をかけられるまで見惚れてた
10分ほど待っていると、初老のDrから部屋にはいるように促され
手に持った心電図を見ながら
「急性の心筋梗塞です」と告げられた
「すぐにカテーテルを入れて、閉塞している場所を
風船で広げ止まっている血液を流れる処置を施します
ただ、風船で無理な場合は開胸手術に移りますので」
あたしは、ただハイハイと聞きながら
手術同意書にサインした
「念のため、親御さんご兄弟に連絡を取って来て下さるように」
「え!」
「説明をしなければなりませんので」
「大阪なので急には無理かと思いますが、連絡します」
これが、この後、またしても大事になるのだけれど
それはまた、後日。